こんにちは。香里です。

 

自分の仕事が休みの日や、母が仕事だったり用事があったりする日は実家の父(軽度の認知症)を訪ねて散歩したり話を聞いたりしています。

体力に自信がある父なので、散歩に同行する日は10,000歩越え必至。すごい時は20,000歩越えちゃうんだよ。

そんな父はデイケアでリハビリ施設に通ってるんですが、その時に気になって仕方がないことがあるそうで…。

 

演歌をかけてくれるあの女の人は誰なんだ?

じぃじはてな

あのな、いつも同じ声で演歌をかける女の人がいるんだよ…。

最近の父の関心事は、リハビリ中に聞こえてくる声の主です。

『聴きたい曲があると、じいさん←オマエもな… が機械に近寄って行ってお願いするんだよ。そうするとその機械の女の人がハイって言って音楽をかけてくれるんだ。俺は演歌は好きじゃあないから頼んだことないけどな。』

ん?それは有線のことか?電話をかけてるのかな?と聞き流していた私。

『やっぱり有線かなぁ。そうだよな、そこにいなくても勝手に曲がかかるんだからなぁ。』

 

父はデイケアで運動療法のリハビリを行う施設に通っています。

規模は小さいながら、スポーツジム並みの設備があって運動好きの父の好みにあった施設なんですよね。

最初は週一回通っていたのが、すぐに週二回通うようになったほどです。

 

なんだけど…慣れてくるにしたがって周りが見えるようになり…毎回演歌をかけてくれる声だけのその人が気になってしょうがない父。

放っておくとエンドレスでその疑問ばかりを繰り返すので、本気で父が納得する解答をさがすことにしました。

 

 

そこに通う人はだいたい同じような年恰好(70~80代)で、要支援から要介護1~2くらいまでの介護度の人が対象になっているそうです。

 

父はそのリハビリ施設を『ジム』と呼んでいて、本当のスポーツジムだと思っています。高齢者向けの。

 

運動を中心にしたリハビリ施設なんですが利用者自身の希望も尊重してくれるようでリハビリ中に演歌ばっかり聴いてる人もいるとか。(父が言うには、ですけどね)

で、父がいつも座る席の近くに演歌のリクエストができる機械があるのでそれが気になって気になって…というところみたい。

 

いつも機械の向こうにいる 君の名は…

いつも機械から聞こえてくる声の主はアレクサだった…。笑

 

※これは私の自宅にあるアマゾンエコースポットです。

 

『いや、いつも茶筒みたいな機械の向こうにいるんだよ。女の人だなあの声は。』

『その機械はな、押したりもできるんだよ。』

『機械の扱いがうまいじいさんが近寄ってきて声をかけるんだ。』

ん…んん???

『お父さんそれはさぁ、わりと小さい機械かな?』

『おお、小さくてちょっと丸いような機械だなぁ。』

『じゃあ、OK Googleって声かけたりする?』

『いやぁ、そんな名前じゃあなかったなぁ。』

『じゃあ、アレクサ?』

『お!!そ~うだ。アレクサだよ。なんでそれを知ってるんだ?会ったことがあるのか?』

『それはね、AIっていって人工知能の機械なんだよ。ちゃんと質問に答えてくれるんだよ。』

『ええっ!あれは生き物じゃないのか!!』

父絶句。笑

それはアマゾンエコーっていうもので、アレクサって呼ばれてて、男の声も出るよといったらさらに驚いてました。

かなりショックだったらしく、その日はず~っと言ってましたね。『…あれは生きてないのか。』

もっといえばアナタの家にもあるんですけどねお父さん。

以前アレクサを実家の分も買って持って行ったんだけど、Amazonアカウントをどうしよう…ってなってつないでいないままなの。あの小さなアレクサが眠ってるんですよね~。

 

 

『いや、そうなのか!うちにあれがあるのか!それはつながないほうがいいぞ。そんな恐ろしい時代になってるのか…。』

そうよね。ビックリするよね。SFだもんねお父さんにとっては。なんか魂持ってかれると思ったみたいで。

父の頭の中ではリアルAI崩壊みたいな恐ろしいことになってる模様です…。笑

 

『あれは返事もするんだぞ。アレクサ―美空ひばりをかけてくださいってじいさんが言うとハイって言ってるぞ。』

じいさん呼ばわりした男性の声マネまでして訴える父。

『あ~そしたら…美空ひばりの歌を再生します、とか言うでしょ。』

『そうなんだよ!』

『アレクサ!って呼ぶと光ったりするでしょ。』

『おう!するする。』

『光ったらお父さんの好きなラテン音楽をかけてって言ったらかけてくれるよ。』

『ええっ!そうなのか。…でもなぁ、あそこは演歌好きな人しかいないようだぞ。勝手に頼んだら怒られるだろうなぁ。』

 

あんなに怖がっておきながら、誰もいないときはちょっと頼んでみたいらしい。元は新しいもの好きで好奇心旺盛だったものね。頼んでみたらいいのに。父がアレクサに話しかけてるところ見てみたいなぁ。

 

あ、そうだと思いついてiPhoneのsiriに話しかけてみたんですけどね。

『電話もしゃべるのか!!!』とここでまた絶句。『…恐ろしい時代だなぁ。』と考え込んでました。

『…おまえそんなものを使っていたのか!』

ほんとにねぇ。いつの間にこんな時代になってしまったんだろうね。

父と一緒にsiriと遊んでみようと思ったら電池が切れてしまった。古いからすぐ切れるよ~。

 

さいごに

その日は帰る時までずっと言ってました。

じぃじためいき

いや~ビックリしたなぁ。すごい時代なんだなぁ

『あれは機械なのか…気持ち悪いなぁ。』人間じゃないと知ってなんだかゾワッとするみたい。近未来的で。ちょっとわかるかも。

 

次に会う時まで、その衝撃を父が覚えているかどうかわからないけどね。そのうち慣れて家にあるアレクサでテレビ電話できたら安心なんだけどな~。そのまえにアカウントとらなきゃだけど。

 

せっかくなのでしばらくアレクサごっこをして遊ぼうかと思います。どっちかが声かけてどっちかがアレクサの声で返事するシステムね。笑

冗談が好きな父なので、喜んで乗ってくれてその日はアレクサごっこしながら帰りました。

『アレクサ、帰るね~。』

『キヲツケテ。オヤスミナサイ。』なんて感じ。面白いですよ。

 

去年から実家に通うようになって、父ともいろいろな話をするようになりました。

何度も同じ話を繰り返したり、すぐに忘れちゃったりすることもたくさんあるけれど全部初めてのつもりで話してます。それも大事な一回だから。私たちにはそんなに膨大な時間が残っているわけではないもの。

 

劇的に回復、なんて望みませんから…どうか一日でも長くこんな日々が続きますように。

父が父のままでいられますように。

そんなことを考えながら家路についたのでした。