こんにちは。香里です。

 

アルツハイマー病の初期症状が出ている実家の父。

そんな父のところに、先日介護保険の認定調査員さんが来てくれました。

 

いつかこういう日が来るのをあんなに恐れていたというのに、結局何もできないうちに青天の霹靂っていう…。もっともっと知っておかなければいけなかった。何事においても覚悟の足りない情けない自分。

今年はそういうダメダメな自分に向き合う機会が本当に多い。

 

今日は、介護認定の調査でどんなやりとりがあったのかを書きます。

 

Contents

介護認定の調査ってどんなことをするの?

主に身体的な状況把握と認知症状のチェックをします。

 

基本は調査員さんと本人が対話をする形で確認を進めていき、必要に応じて立ち合いの家族の話も聞いていくというスタンスで行われます。

今回来てくれたのは、比較的若い女性が一人でした。わりとカジュアルな感じで、堅苦しさはありません。緊張させないように柔らかな雰囲気を演出しているのかもしれないな~と思いました。

なにしろ高齢者の方を相手にするケースがほとんどだもんね。

 

介護認定の調査の進め方

和やかに認定調査が始まりました。

 

調査員『では、いろいろとお伺いいたしますのでご協力くださいね…。』

父『はい、ひとつよろしくお願いいたします~。』

調『では、生年月日をお伺いしてもよろしいですか?』

父『はいはい、昭和15年〇月〇日です。』

ここはよどみなく、むしろかぶせ気味に答える父。

調『あ、ありがとうございます。では今、79歳で間違いないですか?

父『おう、そ~うですね。そんな歳ですねぇ。』←場をなごませようとおどけている…。

ただ、このとき年齢を本人に尋ねたら即答できたかな…ちょっと怪しいです。

こんな感じで、質問を重ねつつ調査が始まっていきました。

 

体の状態についての質問

仕事をなにかしていますか

趣味はありますか

・歩いたり、運動したりする習慣は?

持病はないですか

・体のどこかで痛かったりしびれている場所はありますか

・手を前に出してください→グーパーしてみてください→そのまま上に手をあげてみましょう

片足立ちできますか?←私、もしかしたらできないかもしれない…

字を書いたり読んだりするのは大丈夫ですか

・家の用事や着替え、食事、排せつなどを自分で誰かの手助けがなくてもできますか

・排泄について、困っていること(尿漏れ、失禁など)はありませんか

・日常的に外出したり買い物に出かけていますか

などといった、身体的に不具合がないかの確認をしていきました。

 

父は自立した老人を目指していたので、持病はあるものの体についてはまったく問題なく過ごしています。

持病のせいで尿漏れなどがあるようですが、これは認知に関係ないもので、自分で対応できてます。

なもんで…質問に自信満々で答える父。そうなんですよね。身体はとても元気そうです。年齢なりに衰えたところはたくさんありますが、しっかりとした足取りで歩き、家事もできるし、普通の元気な老人です。

 

認知状態についての質問

できることを上げていくと、父は一見何の問題もないように見えます。

でも、続いて認知状態についての質問に移ると雲行きが怪しくなってきました。

 

調『日にちですとか、季節感などはきちんと意識していらっしゃいますか?』

父『そうですね。季節は私、外歩きが趣味ですんで、体で感じつつ歩いてます。』

調『そうなんですか。いい趣味ですね~。では今の季節はどんな季節でしょうか?』

父『…そうですねぇ…え~今は…夏に近い秋、ってとこですか。』

調『そうですね。その通りですね。暦の上では秋って言いますけれどまだ暑いですよね!』

なんとかクリア、って感じです。季節感はまだ意識できているということか。。。

 

続いて

調『では、後からお伺いしますのでこれから並べる品物を3つ覚えてくださいね。今は覚えるだけで、しばらく話した後にまた質問しますので。』

父『ああ、わかりました。』

 

やりとりのあと、調査員さんがテーブルに並べたのは

 

鍵の束

腕時計

消しゴム

 

この3つでした。

父はしげしげとそれを眺めていましたが、どこかふわーんとした感じで…。

 

そのあとは普通の会話に戻るのですが、父は質問の内容にはそこまで興味がないみたいで、自分の趣味やボランティアのことについて話したい様子。

なんとか切り上げて次の質問に移りたい調査員さん。

調『そうなんですね。じゃあ、今朝めしあがったものを言ってみてください。』

父『あ、そういうことね。え~…。』

出てきません。この時まだ10時前です。食べたことはかろうじて覚えているみたいだけど、何を食べたか覚えてないのか…。まぁ、前の日何を食べたかとか、私たちも意識しないと思い出せなかったりするけど、でも…。

 

母がその様子を見て改めてショックを受けていたのが気の毒でした。

 

調査員さんがパン食が多いですか?と聞いても、パン食ではないなぁ…と答えたきり具体的には出てこない。

『え~っとまぁ、ちょっとしたものですね。朝なんで軽いものを食べたりしていますよ。』

母『今朝はバナナを食べたよね。』

『ああ、そうバナナは多いね。栄養があるからね。私は山歩きをしてたもので、好きなのと山に持ち歩いていたこともあってよく食べますね。』

 

続けて調査員さんが聞いたのは日にち。

調『では、〇〇さん今日は何月何日何曜日でしょうか。』

父『え~…』←手元の時計に目をやる

父『今日は…9月の26日ですね~。』腕時計の小さな日付表示をカンニングして答えたんですね。

母『日付を聞かれると時計見ちゃうの!笑』

調『お仕事に出たりしないと、何月何日ってあれっ?て感じになりますよね~。いますいます、皆さんそうですよ。』

調査員さんは、父のプライドを傷つけないようにとても気をつかって話を進めてくれていました。

そして

調『あ、ではさきほど覚えてもらった3つの品物、何だったか覚えていますか?』

父『あ~あったねぇ…。』考え込むけど、やっぱり出てこない。

調『3つじゃなくて、1つでも全然大丈夫です。どうですか?』

それでも出てこなくて、調査員さんは一つずつ品物を見せていきます。鍵束、腕時計…見るたびあぁ、そうだなって。でも最後のひとつになっても品物の名前は父からは出てきませんでした。

調査員さんは、『大丈夫です。みなさん話しているうちに忘れちゃうこと、多いんですよね。もう半分以上そうですよ。』なんてなぐさめてくれたりして。

 

介護認定までの流れとサービスについての説明

質問はこのくらいで終わり、そのあとは介護認定までの流れと介護度が決まってから受けられるサービスについての説明がありました。

このあと質問に基づいて父の介護度が認定されること。その際、まったく支援や介護の必要がないと判断される場合があることを了承してほしいということ。

どんな認定が出た場合でも、受けられるサービスがあるので管轄の包括支援センターで相談してみてくださいとのこと。

 

結果が出るまでには3週間から1ヶ月程度の期間が必要とのことでした。

 

調査員さんとの内緒の会話

立ち合いで横にいた私は、終わった後に調査員さんと少し話したいと思っていました。

聞き忘れたことがある、といって追いかけようと思っていたら玄関先で調査員さんの方から目配せしてくださったのでそのまま送るふりをして外に出ました。

上手にフォローしてくれましたから、気がついてくれているかな?と思っていましたがやっぱりそうで。

『ご家族からもご本人のいないところで少しお話を聞きたいと思いまして。』とのこと。

なので…本人は自覚がないけれど、同居している母が異変に気づいて脳神経外科に連れて行ったこと。

MRIで海馬がかなり減っていたこと。短期記憶が残っていないようだということなどを話しました。

 

調査員さんの印象でも短期記憶は良くない(あたりまえですね、あの結果ですからね)そうで、身体的にはまったく問題ないけれども、なんらかの認定は出るのでは…とのことでした。

 

実際、母がいてくれれば今のところ日常生活で困ることはないし、見た目普通だし…もしかしたら自立って言われちゃうのかなぁ…と思っていたので良かった。(介護度が重くなるのを喜ばなきゃいけないとは複雑ですよね…)

 

調査員さんと話している道に咲いてました。彼岸花かな?

 

まとめ…というか思うこと

この介護認定の調査は、玄関先で送りがてらの内緒話まで含めて45分くらいでした。

横で見ていて思うこともいろいろあった。ほんとにいろいろ。

とにかくこれが初めの一歩なんですよね。長い道のりになるのかも。

 

なんか…ピーコちゃんは、このことも知ってたように思えてなりません。

あんな絶妙のタイミングで逝くなんて。

娘の受験がすべて終わったのを見届けて、父のことであれこれ忙しくなる前のぽっかりあいた時間に逝くなんて。

 

私はピーコちゃんのように上手に逝くことができるだろうか…なんてつい思ってしまいます。